育成就労の基礎知識 08
内容確認日 2026年10月17日
- 本人意向とやむを得ない事情による転籍を区別する
- 期間・能力・転籍先・人数等の条件を併せて確認する
- 申し出への対応と記録・関係機関への連絡を準備する
この記事の目次
育成就労では、外国人本人の意向による転籍が一定の条件で認められます。受入れ企業は「何年たてば転籍できるか」だけでなく、申し出があったときの確認と支援まで準備しておく必要があります。制度上の条件と、企業が備えたい対応を整理します。
1 二つの転籍を区別する
転籍には、暴力・ハラスメント等のやむを得ない事情によるものと、一定の条件を満たして本人の意向により行うものがあります。本人意向の転籍に設けられた制限期間を、人権侵害等があった場合も一律に待たなければならない期間と考えないことが重要です。[1][2]
2 本人意向の転籍は複数の条件を確認する
| 主な確認項目 | 制度上の考え方 |
|---|---|
| 業務区分 | 転籍は同一の業務区分内で行う |
| 期間 | 分野別に1年以上2年以下の転籍制限期間を設定。企業が1年とする仕組みもある |
| 技能と日本語 | 分野別に定めた試験等の水準を満たす |
| 転籍先 | 優良な育成就労実施者であること等が必要 |
| 受入れ方法等 | 人数枠・転籍者の割合、費用補填、民間職業紹介事業者等の関与に関する条件を確認 |
制限期間や日本語能力を全分野で同じと判断しないようにしましょう。制限期間が1年を超える場合には、分野別運用方針で定める待遇向上の措置も確認します。[4]
3 人数の割合と費用補填にも条件がある
本人意向の転籍先では、転籍後に在籍する育成就労外国人全体に対する本人意向転籍者の割合を、原則3分の1以内とする条件があります。指定区域外の大都市圏等へ、指定区域内の地方から受け入れる場合には、原則6分の1以内という追加条件もあり、小規模な受入れ機関の例外等を確認する必要があります。[2]
また、転籍先が、転籍元の受入れ・育成に関する初期費用の一部を補填する仕組みがあります。告示で定める額や就労期間に応じた計算によるため、企業間で自由に決めた違約金と混同しないようにします。[2][3]
4 申し出があったときの対応を決めておく
社内の準備例として、本人がどの窓口へ相談できるか、誰が聞き取りを行い、監理支援機関等へ連絡するかを決めておきます。申し出の日、内容、勤務や相談の記録を残し、本人の説明を確認します。人権侵害等が疑われる場合は、安全や相談のしやすさを優先して対応しましょう。
本人意向の転籍では、転籍先が新たな育成就労計画を作成し、認定申請を行う等の手続が必要です。雇用契約の終了、計画の手続、在留に関する手続を一緒にせず、関係機関の案内に沿って確認します。[5]
5 日常の説明と相談が対応の土台になる
賃金、仕事、住居、学習の負担について、採用前の説明と実態に違いがないかを定期的に確認することも、企業の準備です。転籍を申し出にくくすることより、困りごとを早い段階で把握し、適切に対応できる体制を整えましょう。
本記事は2026年10月17日時点で確認した官公庁の公表情報に基づく一般的な解説です。分野、業務内容、本人・企業の状況により条件が異なります。申請・採用時には最新の法令、分野別運用方針・要領をご確認ください。本文中の準備例は、法定要件を置き換えるものではありません。
参考情報
- 出入国在留管理庁 育成就労制度Q&A
2026年10月15日更新。項目名により参照し、番号変更に注意 - 出入国在留管理庁 育成就労制度運用要領のポイント
本人意向の転籍、転籍者の割合、初期費用補填等 - 出入国在留管理庁 育成就労制度の関係省令等について 概略図
育成の目標、入国後講習、転籍、送出費用等 - 出入国在留管理庁 育成就労制度の基本方針 分野別運用方針
2026年1月23日閣議決定の各分野の方針とその後の改正 - 出入国在留管理庁 運用要領 第4章 育成就労計画の認定等
計画作成、実施体制、同等報酬、人数枠等












