「社長が交代したので、会社の登記は変更した。太陽光発電のFITについても手続きが必要だろうか」。会社で太陽光発電設備を保有していると、代表者交代の際にこのような確認が必要になります。
同じ法人の代表者が交代するだけの場合は、原則として事後変更届出で対応します。ただし、株主や出資関係などの変更を伴い、「密接関係者」の変更にも該当するときは、変更認定申請の確認が必要です。交代する人の氏名だけでなく、会社の体制にどのような変更があるかを整理しましょう。
1.代表者の交代と、発電事業者の変更を区別します
FITの認定を受けているのが会社である場合、代表取締役が交代しても、それだけで発電事業を営む法人そのものが別の会社に変わるわけではありません。最初に、認定上の事業者が誰なのかを確認します。
| 今回の変更 | FITで確認すること |
|---|---|
| 同じ法人の代表者が交代 | 代表者の役職・氏名を事後変更届出で変更する内容か |
| 株式譲渡や出資関係の変更も実施 | 密接関係者の変更に該当し、変更認定申請が必要になるか |
| 別の法人へ発電事業を移転 | 代表者欄の修正だけでなく、事業者変更の手続きが必要になるか |
| 社内の担当者だけが交代 | 電子申請の登録者・連絡先・権限の引継ぎが必要になるか |
会社の名称が変わらない場合でも、株式会社の議決権の過半数を保有する株主の変更などは、密接関係者の変更に関係します。合同会社などの持分会社では、社員の変更も確認対象です。ここでいう「社員」は、一般の従業員ではなく会社法上の出資者を指します。
申請区分は、再生可能エネルギー電子申請の操作マニュアルにある変更手続きの整理表で確認できます。
2.交代前後の会社情報と、対象設備をそろえましょう
社内で準備を始めるときは、次の情報を一つの一覧にまとめると、変更の範囲を確認しやすくなります。
- 認定を受けている法人名、法人番号、本店所在地
- 旧代表者と新代表者の役職・氏名、交代した日
- 株主・出資者・親会社などに変更があるか
- 対象となる発電設備の設備ID、設置場所、出力
- 社名や本店所在地など、代表者以外にも変わった項目
複数の発電設備を保有している会社では、設備ごとに認定内容と届出の状況を照合しましょう。一つの設備の手続きが終わったことで、ほかの設備まで確認済みとしてしまわないよう、設備IDごとに記録を残します。
3.必要書類は、変更内容と申請方法から確認します
代表者の変更を確認する基本資料は、会社の履歴事項全部証明書です。認定情報に記載された内容と、変更後の登記内容を照合します。印鑑証明書や、代行を依頼する場合の委任状などについても、利用する申請方法に合わせて準備します。
公的機関が発行する証明書には、原則として申請・届出日前3か月以内の発行という取扱いがあります。書類を早く取りすぎないよう、提出時期が見えてから取得の予定を立てましょう。GビズIDの利用状況によって添付が不要となる書類もあるため、すべてのケースで同じ一式になるわけではありません。
株主や出資関係の変更もある場合は、会社の登記事項証明書だけでは分からない情報があります。変更前後の株主・出資関係が分かる資料や事業実施体制図など、追加で何を確認するかを先に整理しておくと進めやすくなります。
4.届出の準備から完了確認までの進め方
- 現在の認定情報を確認する:設備IDを手がかりに、法人名、代表者、住所、認定の状態を確認します。
- 変更内容を整理する:単なる代表者交代か、密接関係者や事業者の変更もあるかを判断します。
- 手続きと順番を決める:必要書類、申請中の案件、他の変更事項を確認します。
- 該当する申請・届出を行う:入力した役職・氏名と、証明書の記載を照合します。
- 受理・認定の結果を確認する:完了したことが分かる資料を、設備IDとあわせて保管します。
密接関係者の変更に該当する場合は、設備の条件に応じて説明会や事前周知措置の確認も必要です。社内で交代や株式譲渡の予定が決まった段階で相談すると、必要な準備を日程に組み込みやすくなります。
5.連絡先・電子申請・売電契約も確認しましょう
代表者の変更と一緒に、電子申請を管理する人や連絡先が変わることもあります。以前の担当者のメールアドレスに連絡が届き続けていないか、申請中の案件に対応できる人がいるかを確認してください。
GビズIDを利用している場合は、GビズID側でも代表者交代時の取扱いを確認します。FITの届出、アカウントの管理、電力会社等との契約変更を、それぞれの担当者が確認できるようにしておきましょう。
売電契約については、契約先へ代表者変更の連絡や書類提出が必要かを確認します。社内の変更届の一覧に、FITと売電契約の欄を設けておくと、完了状況を共有しやすくなります。
6.代表者変更に伴うFIT手続きのご相談
たかえす行政書士事務所では、太陽光発電のFIT・FIPに関する申請・届出のご相談を承っています。「代表者が変わっただけなのか」「株式譲渡もあるので別の手続きになるのか」といった段階から、現在の認定情報と変更内容を整理します。
ご相談の際は、設備ID、交代した日または予定日、変更後の会社情報、株主・出資関係の変更の有無を、分かる範囲でお知らせください。
申請書類の作成を依頼する際の注意点
FITの申請書類の作成を有償で依頼する場合は、行政書士・行政書士法人や弁護士など、法令上その業務を行える者に依頼しましょう。
資格・権限のない者が、他人の依頼を受け、報酬を得て業として申請書類を作成することは、行政書士法第19条に違反します。電子申請データの作成も含まれます。
「申請代行料は無料」とされていても、実質的に工事代金やコンサルティング料などに書類作成の対価が含まれていれば、報酬の名目だけで判断されるものではありません。
参考:資源エネルギー庁「その他の手続」/e-Gov法令検索「行政書士法」
参考資料
- 資源エネルギー庁「再生可能エネルギー電子申請・操作マニュアル」(事後変更届出、変更認定申請、連絡先情報変更)
- JPEA代行申請センター「説明会及び事前周知措置について」
- GビズID「よくある質問」
2026年10月12日時点の公表資料に基づく一般的な案内です。主にFITの買取期間中の設備を対象としており、FIPや買取期間終了後の設備は、該当する手続き区分を確認してください。必要書類や進め方は個別の認定内容・変更内容によって異なります。












