育成就労の基礎知識 06
内容確認日 2026年10月17日
- 開始前・毎月・随時の費用を分けて見積もる
- 本人負担の上限と企業の総費用を混同しない
- 技能実習時の給与の免税扱いをそのまま引き継がない
この記事の目次
受入れ費用を考えるとき、月給と監理支援費だけを見ると、教育や住居の準備、試験時の支出が抜けることがあります。育成就労は原則3年間の育成を伴うため、支出する時期と負担する人を分けて見積もることが大切です。本記事では、企業の予算作成で確認したい項目を整理します。
1 初期費用と毎月の費用を分ける
| 時期 | 見積り・確認する項目の例 |
|---|---|
| 受入れ前から開始時 | 募集・紹介等の費用、渡航、住居の準備、入国後講習、申請に関する費用 |
| 毎月 | 賃金、加入対象となる保険の会社負担、監理支援費、住居・生活支援に関する負担 |
| 教育・評価の時期 | 日本語講習、教材、受験、必要な移動や勤務の調整 |
| 変更・更新等の時期 | 在留手続、計画変更、転籍への対応など個別に発生する費用 |
契約先ごとに、誰が、いつ、何を負担するかが異なります。「受入れ一式」とされた見積りでも、含まれる範囲、人数の前提、追加費用、返金・解約の条件を確認し、同じ費用を二重に計上していないか照合しましょう。
2 賃金と教育費を削る前提にしない
育成就労外国人への報酬は、日本人が当該業務に従事する場合と同等以上とする必要があります。監理支援費や技能検定等の費用を理由に報酬を低くすることも認められません。日本語教育についても、受講機会や費用負担を含めて準備します。[1][2]
指導する社員の時間や、作業に慣れるまでの生産性も社内の見積り項目になります。これは制度上の定額費用ではありませんが、給与支出だけでは見えにくい受入れ負担です。教育に使える時間を現場と共有しておきましょう。
3 送出費用の本人負担と監理支援費を区別する
外国人本人が送出機関へ支払う費用には、就労開始時の所定内賃金月額の2か月分という上限があります。企業が負担する受入れ総費用の上限ではなく、超過分を本人に負担させることはできません。[3]
また、監理支援機関が徴収する監理支援費は、直接・間接を問わず外国人本人に負担させてはなりません。食費・居住費等も、内容を理解した上での合意や適正な金額等の条件があるため、費用の名称を変えて控除するような処理は避け、負担の根拠を確認します。[1]
4 給与計算と課税関係も準備する
国税庁の2026年9月15日付文書回答では、照会された事実関係を前提に、育成就労外国人の給与は原則として所得税の課税・源泉徴収の対象となる取扱いが示されています。一部の技能実習生に適用されてきた租税条約上の訓練生等の免税を、育成就労でもそのまま使えると考えないことが重要です。[4][5]
給与計算では、額面と手取り、会社負担を分けて説明できるようにします。個別の租税条約の適用や源泉徴収の処理は、税理士又は税務署に確認し、社内の給与設定へ反映しましょう。
5 3年間の支払予定に置き換える
実務上は、開始前の資金、毎月の支出、特定の月に発生する教育・試験等の支出、予備費を、月別の資金繰りに落とし込みます。見積りを受け取った時点だけでなく、契約や採用条件を変えた際にも、予算と支払時期を更新する運用にしましょう。
本記事は2026年10月17日時点で確認した官公庁の公表情報に基づく一般的な解説です。分野、業務内容、本人・企業の状況により条件が異なります。申請・採用時には最新の法令、分野別運用方針・要領をご確認ください。本文中の準備例は、法定要件を置き換えるものではありません。
参考情報
- 出入国在留管理庁 運用要領 第4章 育成就労計画の認定等
計画作成、実施体制、同等報酬、人数枠等 - 出入国在留管理庁 日本語教育機関の講習提供状況一覧表について
講習提供可否等は掲載時点の情報であり、受講先へ確認 - 出入国在留管理庁 育成就労制度の関係省令等について 概略図
育成の目標、入国後講習、転籍、送出費用等 - 国税庁 育成就労外国人が受ける給与の課税関係 文書回答
2026年9月15日回答。照会事実を前提とする一般的な回答 - 国税庁 育成就労外国人が受ける給与の課税関係 照会
所得税の課税・源泉徴収と租税条約の訓練生免税












