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IN1.育成就労制度とは 2027年4月開始に向けた決定事項と企業の準備

育成就労01 育成就労制度とは 制度の全体像と企業の準備 たかえす行政書士事務所

2026年10月17日現在

育成就労制度は、日本の人手不足分野で働く外国人を育成し、人材を確保するための新しい制度です。運用開始日は2027年4月1日と定められており、原則3年間の就労を通じて、特定技能1号の水準に達する人材を育てます。受入れを検討する企業には、採用だけでなく、育成・日本語学習・適切な待遇を継続する体制が求められます。[1][3]

この記事では、2026年10月17日時点で官公庁が公表している情報を基に、決定済みの制度の仕組みと、申請・採用の前に最新情報を確認すべき事項を整理します。

1 制度はいつ始まるのか

育成就労制度を創設する改正法は2024年6月21日に公布されました。実際の受入れ開始は2027年4月1日ですが、それに先立つ申請受付はすでに始まっています。[1][2]

時期 内容
2026年1月23日 分野別運用方針を閣議決定
2026年4月15日 監理支援機関の許可に係る施行日前申請の受付開始
2026年9月1日 育成就労計画の認定に係る施行日前申請の受付開始
2027年4月1日 制度の運用開始 育成就労外国人の受入れ開始

[2][6]

施行日前申請は、制度開始後の受入れに備える手続です。申請しただけで2027年4月より前に育成就労として働けるわけではありません。[1][2]

2 技能実習や特定技能との違い

技能実習制度が技能移転による国際貢献を目的としてきたのに対し、育成就労制度は、日本の人手不足分野における人材育成と人材確保を目的としています。技能実習制度を見直し、特定技能制度との連続性を持たせる仕組みです。[3][17]

育成就労では原則3年間で特定技能1号の水準を目指しますが、期間が満了すれば自動的に特定技能へ移行できるわけではありません。技能検定3級等又は特定技能1号評価試験と、日本語能力の試験への合格などが必要です。入管庁の現行Q&Aでは、日本語についてA2.2相当以上の試験として、JFT-BasicのA2.2相当、JLPTのN4等を挙げています。分野固有の要件も併せて確認します。[4][6]

3 対象となる産業分野

2026年1月23日に閣議決定された分野別運用方針では、特定技能は19分野、育成就労はそのうち17分野とされています。育成就労の対象は次のとおりです。[5][6]

介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、宿泊、鉄道、物流倉庫、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業、資源循環。[5][6]

上記の閣議決定では、自動車運送業と航空は育成就労の対象に設定されていません。また、対象分野に属する会社であっても、会社内のすべての仕事に従事できるわけではありません。実際の業務が、対象となる業務区分や育成する技能に該当するかを確認する必要があります。対象分野・業務区分の追加や変更については、検討段階の資料と決定後の方針を区別して確認しましょう。[5][6]

4 受入れには育成就労計画の認定が必要

企業は、外国人ごとに原則3年間の育成就労計画を作成し、認定を受けます。技能実習の1号から3号に相当する区分を設けて段階ごとに計画を認定する仕組みから、当初から3年間を見通して育てる仕組みに変わります。[7]

育成する技能や日本語能力、従事する業務、指導体制などを具体化するほか、当該業務に日本人が従事する場合と同等以上の報酬を確保する必要があります。監理支援費や試験費用を理由に、外国人の報酬を不当に低くすることも認められません。[8]

受入れ人数についても、常勤職員数や優良要件等に応じた枠があります。分野別協議会への加入など、分野固有の条件も確認が必要です。工業製品製造業では、登録法人の構成員となる仕組みが設けられています。[2][13]

5 日本語学習は企業の準備事項になる

就労開始前には、原則としてA1相当以上の日本語試験への合格、又はそれに相当する日本語講習の受講が必要です。A1相当試験に合格していない場合のA1相当講習は、原則100時間以上とされています。[7][9]

また、3年間の育成就労を通じ、原則としてA2相当の能力を目標とする100時間以上の講習を受ける機会を提供する仕組みがあります。試験合格による受講免除や、認定日本語教育機関等の講習に関する経過的な取扱いもあります。費用負担を含め、必要な措置を受入れ企業等が講じます。[9]

受入れを検討する段階で、利用できる日本語教育機関、学習の時間帯、費用、受講記録の管理方法まで整理しておくと、育成計画を具体化しやすくなります。

6 本人の意向による転籍が一定の条件で認められる

育成就労制度では、やむを得ない事情がある場合の転籍に加え、本人の意向による転籍も一定の条件で認められます。ただし、自由にどの会社・職種へも移れる仕組みではありません。[4][10][17]

  • 転籍は同一の業務区分内で行うこと
  • 分野ごとの転籍制限期間を超えていること 制限期間は1年以上2年以下の範囲で設定され、受入れ企業の判断で1年とする仕組みもある
  • 分野ごとに定められた技能・日本語能力の水準を満たすこと
  • 転籍先が優良な育成就労実施者であることに加え、受入れ人数、転籍者の割合、初期費用の補填、民間職業紹介事業者等を関与させないことなどの条件を満たすこと

[7][10]

暴力やハラスメント等のやむを得ない事情による転籍と、本人意向による転籍は区別して考える必要があります。本人意向の転籍制限期間を、被害を受けた場合にも一律に待たなければならない期間と捉えないようにしましょう。[4][17]

7 監理支援機関の許可と支援体制も見直される

監理型の育成就労では、監理支援機関が受入れ企業の監理・指導や外国人の支援・保護などを担います。現在の技能実習制度の監理団体が育成就労に関わるには、新たに監理支援機関の許可が必要です。[4][11]

外部監査人の設置など、監理・支援を適切に行うための体制が求められます。外部監査人についても知見、講習、外部性等の要件があり、受入れ企業等と密接な関係にある者は就任できない場合があります。[11]

受入れ企業としては、依頼予定の機関の許可状況、取り扱う分野、相談対応体制、監理支援費の内容を確認しておくことが実務上の準備になります。

8 送出費用と受入れ国も確認が必要

監理型育成就労で外国人が送出機関に支払う費用には、育成就労計画に記載された所定内賃金月額の2か月分という上限が設けられます。上限を超える部分を外国人本人に負担させることはできません。これは送出機関への本人負担の上限であり、受入れ全体の費用が2か月分に収まるという意味ではありません。[13]

また、日本と送出国との協力覚書や、認定送出機関のリストについて公表が進んでいます。採用を決める前に、予定する国・送出機関について最新の公表状況と手続を確認しましょう。[14]

9 現在の技能実習生はどうなるのか

制度開始日に、すべての技能実習が終了するわけではありません。経過措置により、一定の技能実習生は認定された計画に基づき技能実習を継続できます。[12]

  • 2027年4月1日時点で既に来日している技能実習生
  • 2027年3月31日までに技能実習計画の認定申請が行われ、原則として2027年6月30日までに技能実習を開始する技能実習生

[12]

技能実習1号から2号への移行は可能ですが、施行日以降に3号へ進むには、施行日時点で技能実習2号の活動を1年以上行っていることが必要です。技能実習から育成就労へ在留資格を切り替えることはできません。現在受け入れている人については、入国日、計画の申請日、実習段階、2号の開始日を個別に確認しましょう。[12]

10 決定済みの事項と今後の確認事項

制度の施行日や目的だけでなく、関係省令、分野別運用方針、運用要領も公表されています。一方、実際の申請に使う分野別資料や運用情報は、追加・更新が続いています。[1][6][16]

区分 主な内容
制度として定められている事項 2027年4月1日の開始、原則3年間の育成、計画認定、条件付きの本人意向転籍、日本語学習の仕組み、技能実習の経過措置
申請・採用前に最新確認する事項 対象分野と業務区分、分野別運用要領・審査基準、協議会加入手続、試験情報、日本語講習の提供状況、協力覚書・送出機関

[1][2][6][7][9][12][14][16]

直近では、10月9日に飲食料品製造業・資源循環の分野別運用要領を掲載し、鉄道・木材産業の分野別運用要領を改正、10月13日に協力覚書情報、10月15日にQ&Aを更新、10月16日に宿泊の分野別運用要領を掲載したことが、入管庁の更新情報に示されています。古い解説だけで準備を進めず、自社の分野の資料を確認することが大切です。[15]

受入れを検討する企業が今から進めたい準備

実務上は、次の順で準備を進めると、必要な手続や費用を整理しやすくなります。以下は公表資料を踏まえた準備の提案です。

  • 予定する仕事が、対象分野・業務区分に該当するか確認する
  • 3年間の業務内容と指導担当者、日本語学習の方法を整理する
  • 日本人との報酬比較、学習費用、住居、相談体制を含めて受入れ予算を見積もる
  • 監理型の場合は監理支援機関を確認し、協議会加入等の分野別手続を進める
  • 現在の技能実習生について経過措置の適用と今後の移行予定を確認する

育成就労は、受入れ後の育成と就労環境を含めて準備する制度です。外国人の受入れ手続や制度の適用についてお困りの際は、たかえす行政書士事務所へご相談ください。

本記事は2026年10月17日時点で確認できる官公庁の公表情報に基づく一般的な解説です。個別の受入れ可否は、対象分野、業務内容、企業・外国人の状況、申請時点の法令・運用により異なります。

出典と参考資料

確認日 2026年10月17日

  1. 出入国在留管理庁 育成就労制度の制度概要 関係法令
    改正法の公布日と施行日、関係省令等
  2. 出入国在留管理庁 育成就労制度に係る施行日前申請
    申請開始日、分野別協議会、分野別基準、公表状況
  3. 厚生労働省 介護分野における育成就労制度について
    制度の目的と3年間の人材育成
  4. 出入国在留管理庁 育成就労制度Q&A
    技能実習との違い、監理支援機関、特定技能1号への移行等
  5. 出入国在留管理庁 分野別運用方針の主要な記載事項①
    特定技能19分野と育成就労17分野
  6. 出入国在留管理庁 基本方針 分野別運用方針
    各分野の方針と対象業務
  7. 出入国在留管理庁 育成就労制度の関係省令等について 概略図
    育成就労計画、日本語講習、転籍等
  8. 出入国在留管理庁 運用要領 第4章 育成就労計画の認定等
    同等報酬等の認定基準
  9. 出入国在留管理庁 日本語教育機関の講習提供状況一覧表について
    A1相当講習とA2目標講習、費用負担
  10. 出入国在留管理庁 育成就労制度運用要領のポイント
    本人意向による転籍の要件等
  11. 出入国在留管理庁 運用要領 第5章 監理支援機関の許可等
    監理支援機関と外部監査人
  12. 出入国在留管理庁 育成就労制度の施行に伴う技能実習の取扱い
    技能実習の経過措置と3号移行
  13. 出入国在留管理庁 育成就労制度運用要領
    送出機関に支払う費用の上限等。改正後の版は出典16で確認
  14. 出入国在留管理庁 育成就労に関する二国間の協力覚書
    協力覚書と認定送出機関の案内
  15. 出入国在留管理庁 育成就労制度 更新情報
    2026年10月16日までの更新情報
  16. 出入国在留管理庁 運用要領 掲載ページ
    本体、改正履歴、分野別運用要領の現行掲載先
  17. 厚生労働省 外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について(2026年3月25日)
    制度目的の比較と権利保護。対象分野等はその後の決定を参照

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