主に50kW未満・FIT買取期間中の中古住宅売買に伴う名義変更を想定しています。
太陽光発電付きの中古住宅を購入した後、以前の施工会社が廃業していたり、売主と連絡が取れなくなったりして、FITの名義変更をどこから進めればよいか分からないことがあります。
最初に分けたいのは、「誰と連絡が取れないのか」と「そのために何が確認できないのか」です。IDの照会で解決を目指す問題と、設備の譲渡や必要書類に関する問題は、同じものではありません。
1.連絡が取れない相手の役割を整理します
| 相手 | 主に整理したいこと |
|---|---|
| 売主 | 譲渡の内容、売主側の必要書類、これまでの手続き状況 |
| 施工会社・販売会社 | 設置時の資料、過去の担当者、引き継げる連絡先 |
| 以前の登録者・申請代行者 | 電子申請の管理状況、申請済みかどうか、資料の受渡し |
| 仲介した不動産会社 | 売買時の説明、名義変更の担当範囲、売主への連絡窓口 |
施工会社と登録者が同じとは限りません。また、登録者と認定上の事業者も役割が違います。「施工会社に連絡できないので、すべての手続きができない」と決めつけず、分かっている情報を確認しましょう。
2.まず手元の資料を集めます
引渡し時のファイル、売買契約書の付属書類、設置時の保証書、売電の明細、過去のメールなどを探します。確認したい情報は次のとおりです。
- 設備ID、設置場所、現在の認定事業者
- 太陽光発電設備が売買対象に含まれていること
- 過去に申請や連絡を担当した人・会社
- 名義変更の依頼や申請をした日
- 電力会社の契約名義と売電先
どの資料に何が記載されていたかもメモしておくと、同じ確認を繰り返さずに済みます。古い書類に売主名が残っていても、現在の登録状態を示すとは限らないため、発行日を合わせて確認してください。
3.ID・パスワードの不明は、公式の照会案内へ
再生可能エネルギー電子申請には、ログインIDや登録メールアドレスなどを使った再発行の案内があります。登録されたメールを受信できない、情報が分からない場合の問い合わせ方法も掲載されています。
公式の「ログインID・パスワードを忘れた方」を確認し、対象となるIDの種類と、手元の情報を整理してください。第三者のアカウントを推測して操作するのではなく、本人確認や委任など、案内に沿った対応を進めます。
設備IDとログインIDは別です。認定通知書に設備IDが載っていても、それだけで電子申請にログインできるわけではありません。相談時には「設備IDは分かるが、事業者IDが不明」のように伝えると、困っている点が明確になります。
4.IDが分かっても、譲渡の確認は別に必要です
ログインに必要な情報を確認できたとしても、売主から買主へ設備・事業が引き継がれたことや、申請に必要な書類の確認が不要になるわけではありません。
住宅の売買契約書に太陽光発電設備の記載があるか、売主側で準備すべき書類は何か、すでに対応済みのものはあるかを整理します。「連絡が取れない」という事情だけで、通常求められる書類を省略できるとは限りません。
資料が不足しているときは、現在ある資料と事情を示して、適用される申請方法を確認します。本人の署名・押印や同意を推測で補ったり、過去の日付で書類を整えたりせず、実際の経緯を整理することが大切です。
5.連絡の経緯を、簡潔な一覧にします
相談に向けて、連絡した日、相手、方法、結果、受け取った資料を記録しておきましょう。「電話したがつながらなかった」「不動産会社から確認中との回答があった」など、事実を短く残せば十分です。
設備IDは分かっています。売主へは不動産会社を通して連絡中ですが、以前の申請担当者が不明です。売買契約書と認定通知書はあります。次に確認する相手と必要な資料を整理したいです。
これは相談時の説明例です。相手が亡くなっている、法人が解散している、譲渡の範囲に意見の違いがあるといった事情も、最初に伝えてください。通常の連絡確認だけでは進められない場合は、相続などに応じた手続きや、弁護士等への相談も検討します。
連絡先や資料がそろわない段階でもご相談ください
たかえす行政書士事務所では、お手元の資料とこれまでの経緯から、FITの名義変更で確認すべき点を整理します。書類がすべてそろっていなくても、何が分かり、何が不明なのかから一緒に確認します。
申請書類の作成を依頼する際の注意点
FITの申請書類の作成を有償で依頼する場合は、行政書士・行政書士法人や弁護士など、法令上その業務を行える者に依頼しましょう。
資格・権限のない者が、他人の依頼を受け、報酬を得て業として申請書類を作成することは、行政書士法第19条に違反します。電子申請データの作成も含まれます。
「申請代行料は無料」とされていても、実質的に工事代金やコンサルティング料などに書類作成の対価が含まれていれば、報酬の名目だけで判断されるものではありません。
参考:資源エネルギー庁「その他の手続」/e-Gov法令検索「行政書士法」
参考資料
2026年10月12日時点で確認できた公表資料に基づいています。必要な手続き・書類は設備の認定状態や変更内容により異なります。実際の手続きでは最新の公式案内をご確認ください。











