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新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは?3つの枠・補助額・申請要件を解説

最終確認:2026年10月18日|第1回公募要領1.3版に基づく解説

新製品の開発、新しい顧客層に向けた事業、海外への販路開拓。こうした投資を検討している中小企業・個人事業主の方に向けて、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の対象、補助額、申請前に確認したい条件を整理します。

第1回公募の応募締切は、2026年10月30日(金)18:00です。

申請受付は9月30日(水)18:00に開始されています。採択結果は2027年1月の発表予定です。以前の締切・発表予定から変更されているため、必ず現在のスケジュールをご確認ください。

本記事は制度の概要を理解するための解説です。対象可否、経費、必要書類は事業者ごとに異なります。申請時には最新の公募要領・公式FAQを確認してください。

公式の公募スケジュールを確認する

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは

中小企業等の新しい事業への投資を支援し、付加価値や生産性の向上を賃上げにつなげる制度です。申請枠は、革新的新製品・サービス枠、新事業進出枠、グローバル枠の3つです。

製造業だけを対象とする制度ではありません。商業・サービス業も、事業者の要件と各枠の事業内容に合致すれば検討できます。ただし、設備を購入するだけ、従来の事業をそのまま拡大するだけでは対象にならない場合があります。

名称が似た従来の補助金と区別しましょう

公式サイトは、本制度が「中小企業新事業進出補助金」および「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」とは異なる補助金であることを案内しています。従来制度の公募回、申請枠、賃上げ要件をそのまま当てはめず、本制度の第1回公募資料で判断することが大切です。

3つの申請枠と、対象となる取り組み

1.革新的新製品・サービス枠

自社の技術等を使い、顧客に新たな価値を届ける製品やサービスを開発する事業が対象です。例えば、顧客の課題を解決する新しい機能を持つ製品・サービスについて、開発内容と必要な設備投資を具体化します。

既存製品の製造工程を改善するだけの事業や、新製品・新サービスの開発を伴わない機械・システムの導入は対象外です。同業他社で既に相当程度普及しているものも、原則としてこの枠の革新性に該当しません。

2.新事業進出枠

自社にとって新しい製品・商品・サービスを、新たな顧客層に提供する事業が対象です。「何を提供するのか」と「誰に提供するのか」の両方について、既存事業との違いを示す必要があります。

新規性の基準は自社にとって新しいかどうかであり、日本初・世界初であることが一律に求められるわけではありません。一方、審査では新市場性または高付加価値性を説明する必要があります。市場の普及度や相場価格、提供価値の違いなどを、客観的な資料で裏付ける準備が重要です。

同じ商品を別の地域で売るだけ、既存市場でメニューを追加するだけ、生産量を増やすだけでは対象にならない場合があります。また、公募開始日より前に既に取り組んでいた事業の扱いにも注意が必要です。

3.グローバル枠

自社が主体となって新しい国・地域への輸出を進めるため、国内の製造等の拠点を強化する事業が対象です。海外市場の需要、現地の規制・商習慣、販路の開拓方法と、国内設備投資の必要性を結び付けて説明します。

海外向けであれば何でも対象になるわけではありません。取引先主導の取り組みや、自社にとって新しい海外市場への進出に当たらない事業は、対象外となり得ます。

出典:公式サイトの制度概要、公募要領6~9・44~45ページ。

補助金額・補助率を枠ごとに確認

以下は第1回公募の金額です。「通常上限」と「賃上げ特例適用時の上限」は別の条件です。特例を使わずに最大額を受け取れるという意味ではありません。

革新的新製品・サービス枠の補助額

補助下限額:100万円
従業員数 通常上限 賃上げ特例適用時
1~5人 750万円 850万円
6~20人 1,000万円 1,250万円
21~50人 1,500万円 2,500万円
51人以上 2,500万円 3,500万円
  • 中小企業者の補助率:原則1/2
  • 小規模企業・小規模事業者、再生事業者の補助率:2/3
  • 地域別最低賃金引上げ特例の適用を受ける中小企業者:2/3

新事業進出枠の補助額

補助下限額:750万円
従業員数 通常上限 賃上げ特例適用時
1~20人 2,500万円 3,000万円
21~50人 4,000万円 5,000万円
51~100人 5,500万円 7,000万円
101人以上 7,000万円 9,000万円

補助率は、小規模企業・小規模事業者、再生事業者も含めて原則1/2です。地域別最低賃金引上げ特例の適用を受ける場合は2/3になります。革新的新製品・サービス枠の補助率と混同しないようにしましょう。

グローバル枠の補助額

補助下限額:750万円
従業員数 通常上限 賃上げ特例適用時
1~20人 2,500万円 3,000万円
21~50人 4,000万円 5,000万円
51~100人 5,500万円 7,000万円
101人以上 7,000万円 9,000万円

補助率は、中小企業者、小規模企業・小規模事業者、再生事業者ともに2/3です。

2つの特例は、内容も条件も異なります

  • 賃上げ特例:補助上限額を引き上げる仕組みです。原則として、1人当たり給与支給総額の年平均成長率6.0%以上と、毎年の事業場内最低賃金が地域別最低賃金より50円以上高い水準であることの両方が必要です。
  • 地域別最低賃金引上げ特例:対象となる事業者の補助率を引き上げる仕組みです。2024年10月~2025年9月の賃金実績について、所定の賃金帯の従業員が全従業員の30%以上となる月が3か月以上あることなどを確認します。

賃上げ特例は、通常上限に達しない申請には適用できません。また、革新的新製品・サービス枠では地域別最低賃金引上げ特例との併用ができず、同枠とグローバル枠の再生事業者も賃上げ特例の対象外です。特例ごとの除外・返還条件まで確認して選択してください。

補助額と投資額は別です。例えば新事業進出枠で補助率1/2、補助対象経費が1,500万円なら、計算上の補助額は750万円です。経費の一部が対象外となり下限を割ると採択取消となるため、対象経費の精査は重要です。消費税や対象外経費も含めた資金繰りを別途検討しましょう。

出典:第1回公募要領1.3版(補助額・補助率)。特例は15~16ページ、下限割れの扱いは54ページ。

どのような事業者が申請できる?

基本となるのは、日本国内に本社と補助事業の実施場所を持ち、公募要領で定める中小企業者等に該当する事業者です。株式会社等だけでなく、個人事業主も対象になり得ます。一定の組合、特定事業者の一部、要件を満たすNPO法人・農事組合法人等についても規定があります。

中小企業者の判定では業種ごとに資本金・常勤従業員数の基準があり、原則としていずれかの基準を満たすか確認します。例えば、製造業・建設業・運輸業は資本金3億円以下または常勤従業員300人以下、小売業は資本金5,000万円以下または常勤従業員50人以下です。サービス業には業種別の例外があります。

特に確認したい対象外の条件

  • 応募申請時に従業員が0人の事業者は対象外です。個人事業主であることと、従業員を雇用していることは分けて確認します。
  • 新事業進出枠では、設立・創業から1年未満の事業者は対象外です。最低1期分の決算書の提出が必要です。
  • 大企業との資本・役員関係による「みなし大企業」などは、対象外となることがあります。
  • 事業再構築補助金、新事業進出補助金、従来のものづくり補助金等の採択・交付決定歴により、申請できない場合があります。締切前16か月以内の採択や実施中の事業、過去3年間の交付決定回数等を確認します。
  • 他の補助金と同一経費を重複して受給することはできません。グループ会社等を含む同一公募での重複申請にも制限があります。

これらは主な確認事項です。法人形態、株主構成、既存の補助金利用歴まで含め、公募要領17~26ページを確認してください。

賃上げ・付加価値だけではない、共通の基本要件

採択後の設備投資だけでなく、その後の経営と雇用まで見通した計画が必要です。原則として、補助事業終了後3~5年の事業計画において、次の条件を満たすことが求められます。

項目 確認する内容
付加価値額 年平均成長率4.0%以上の目標を設定し、達成する計画。付加価値額は営業利益・人件費・減価償却費の合計です。
賃上げ 従業員1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上の目標を設定。交付申請時までに従業員等へ表明し、最終年度に目標を達成します。
事業場内最低賃金 事業計画期間中、毎年、地域別最低賃金より30円以上高い水準を確保。地域別最低賃金引上げ特例を適用する場合は、この基本要件が除かれます。
一般事業主行動計画 次世代育成支援対策推進法に基づく計画を策定し、応募申請時までに「両立支援のひろば」で公表。締切日時点で有効な計画が必要です。
子育て等の職場環境整備 公募要領が示す取組から1つを選び、具体策を事業計画に記載。一般事業主行動計画にとどまらない追加的な取組として説明します。所定のくるみん認定等による免除があります。
金融機関の確認 金融機関から資金提供を受ける場合は、事業計画の確認を受け、確認書を提出。自己資金のみの場合は提出不要です。

一般事業主行動計画は、3枠共通で準備が必要

本補助金の申請では、従業員数の少ない事業者もこの要件の確認が必要です。「両立支援のひろば」への掲載には1~2週間程度かかり、公募要領は不備対応も考えて2週間以上の余裕を求めています。公表申請を出しただけで、公表済みの要件を満たすと考えないようにしましょう。

子育て等の職場環境整備では、若手従業員向けのライフデザインサービスの活用、所定の家事代行・ベビーシッターサービスの活用、育児休業等の既存制度の周知・普及・啓発から取組を選択します。行動計画を公表すれば自動的にこちらも満たすわけではありません。

賃上げは「人数を増やせば達成」とは限りません

基準は給与支給総額そのものではなく、1人当たり給与支給総額です。年平均成長率は複利で計算し、基準年度は原則として補助事業が終了する日の属する事業年度になります。役員報酬等は含まれず、中途採用・退職者やパートタイム従業員の算定にもルールがあります。

また審査では、設備導入の完了を待たずに行う「足下の賃上げ」も評価されます。申請直近の事業年度から基準年度までの賃上げも、収益・資金計画に織り込んで検討してください。

賃上げ目標の未達や、従業員等への表明漏れなどは、補助金の一部・全額返還につながる場合があります。特例の適用も含め、実現可能な数字と実施体制を優先しましょう。

出典:第1回公募要領1.3版(基本要件)、同44ページ。

対象経費と、発注前に押さえたい注意点

区分 対象となる主な経費・条件
3枠共通 機械装置・システム構築費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費
新事業進出枠・グローバル枠 上記に加えて建物費。機械装置・システム構築費または建物費のいずれかが必須です。
グローバル枠のみ 上記に加えて海外旅費、通訳・翻訳費
革新的新製品・サービス枠 機械装置・システム構築費が必須。建物費は対象ではありません。

費目の名称に当てはまるだけでは対象になりません。事業との関係、専用性、価格の妥当性、経費区分ごとの上限などを確認します。例えば、機械装置等は税抜単価10万円以上が条件で、建物の単なる購入・賃貸は建物費の対象外です。従来設備の単なる置き換えも対象になりません。

採択されても、交付決定前に契約・発注しない

交付決定日より前の契約・発注等に係る経費は対象外です。採択発表と交付決定は別の手続きです。「採択されたから発注してよい」「支払いを後にすればよい」という判断は避けてください。

契約・発注、納入、検収、支払いは、補助事業実施期間内に完了させる必要があります。納期や工事期間に余裕がない投資は、申請前から実施可能性を確認しましょう。

交付申請では、発注先1件当たりの見積額合計が税抜50万円以上の場合、原則として同一条件の見積もりを3者以上から取得する必要があります。補助対象経費の支払いは銀行振込の実績で確認され、現金やPayPay・PayPal等での支払いは対象外です。

事業計画作成支援者等への発注・見積もりにも制限があります。「申請支援にかかった費用も補助される」と安易に計上せず、経費の支出先まで確認してください。

出典:第1回公募要領1.3版(対象経費)、同54~56ページ。

第1回公募の日程と、採択後の流れ

手続き 日程・期限
公募開始 2026年6月29日(月)
申請受付開始 2026年9月30日(水)18:00
応募締切 2026年10月30日(金)18:00厳守
採択結果発表 2027年1月予定
交付申請 原則、採択発表日から2か月以内
革新的新製品・サービス枠の実施期間 交付決定日から10か月以内、かつ採択発表日から12か月以内
新事業進出枠・グローバル枠の実施期間 交付決定日から14か月以内、かつ採択発表日から16か月以内

採択後は、交付候補者向け説明会への参加、交付申請・審査、交付決定を経て事業を実施します。完了後に実績報告と検査等を受け、補助金額の確定・精算払請求へ進みます。採択時に補助金が入金される仕組みではないため、先行する支払いに対応できる資金調達が必要です。

出典:公式公募スケジュール、公募要領53~56ページ。

申請前に準備したいこと

  1. 自社が対象者か、どの枠が適しているかを確認する

    従業員数、創業時期、株主構成、過去の補助金利用歴を整理し、事業の内容から申請枠を選びます。

  2. GビズIDプライムと行動計画の公表状況を確認する

    申請は電子申請のみです。GビズIDの取得や一般事業主行動計画の掲載には日数を要するため、未準備の場合は先に確認してください。

  3. 新事業の顧客・価値・売上根拠を整理する

    既存事業との違い、競合との比較、顧客の需要、販売先、価格・販売数量の根拠を整理します。必要な設備の説明だけで終わらせないことが重要です。

  4. 投資、資金調達、賃上げを一体で計画する

    見積もり、納期、許認可、社内体制、借入の見通しを確認し、会社全体の収益計画に落とし込みます。賃上げ・子育て等の職場環境整備の実施時期も検討します。

  5. 最新の様式・添付書類を準備する

    財務書類、労働者名簿、該当する確認書等を確認します。事業計画などは公式のインポート用フォーマットへの入力・アップロードが必要です。10月にも様式が更新されているため、保存済みの古いファイルをそのまま使わないようにしてください。

  6. 提出内容と送信完了を確認する

    数値の整合、必要書類、表明事項を確認し、締切直前を避けて申請します。入力途中・一時保存のままでは申請完了になりません。

事業計画は、申請者自身が作成する必要があります

公募要領では、外部支援者の助言を受けることは認められていますが、計画の作成そのものを申請者以外が行うことは認められていません。申請者が自社の事業と数字を理解し、自ら作成・説明できる状態にすることが必要です。

支援を利用する場合も、要件の確認、課題の整理、計画への助言・ブラッシュアップなど、申請者主体で取り組める支援内容かを確認しましょう。

出典:公式資料ダウンロード(公募要領・申請ガイド・最新様式)、公募要領1~2ページ。

補助金を受け取った後も、報告・管理が続きます

  • 実績報告:事業完了日から30日を経過した日と補助事業完了期限日のうち、早い日までに提出します。
  • 事業化状況報告:完了年度の終了後を初回として、その後5年間、合計6回の報告が必要です。
  • 賃上げ等の確認:決算書・賃金台帳等をもとに要件の達成状況が確認され、未達等により返還が生じる場合があります。
  • 証拠書類の保存:補助金を受給した年度の終了後5年間、経理関係の証拠書類を保存します。
  • 保険・共済:対象施設・設備には、所定の自然災害補償と付保割合を満たす保険・共済への加入義務があります。
  • 取得財産の管理:設備や建物の目的外使用、譲渡、貸付、廃棄、担保設定等には制限があります。事業計画期間が終わっても、財産の処分制限が続く場合があります。

申請前に、採択後の経理・証拠書類の管理と、数年間の業績・賃金の報告を誰が担当するかまで決めておくと、事業を進めやすくなります。

出典:第1回公募要領1.3版(実績報告・事業者の義務)。

よくある疑問

個人事業主でも申請できますか?

対象者の条件を満たせば検討できます。ただし、応募申請時に従業員が0人の場合は対象外です。新事業進出枠では創業から1年以上であることなど、枠ごとの条件も確認が必要です。

新しい機械を買えば対象になりますか?

購入する機械だけでなく、それによって行う事業の内容が審査されます。単なる設備更新や、開発を伴わない効率化だけでは対象にならない場合があります。

採択されれば申請した金額が必ず支給されますか?

いいえ。採択後の交付審査や実績報告で経費が精査され、減額や対象外となることがあります。採択と交付決定、最終的な補助金額の確定を区別して考えましょう。

今から第1回公募に間に合いますか?

準備状況によって異なります。2026年10月18日時点では締切まで12日です。特に一般事業主行動計画の公表やGビズID、事業計画の内容が未準備の場合、期限内の申請が難しいこともあります。無理な数字や不十分な計画で進めず、必要な準備と対応可能な範囲を確認してください。

補助金の活用を、事業計画から考えたい方へ

「自社の取り組みはどの枠に合うのか」「投資や賃上げの計画に無理がないか」など、制度の条件と経営計画を照らし合わせることが出発点です。

ご相談では、事業内容、投資予定額、従業員数、準備状況をお知らせください。申請者ご自身による計画作成を前提に、要件確認や計画の整理・検討を支援します。

当事務所の補助金申請支援は、原則として申請期限まで最低3か月ある案件を対象としています。締切直前のご相談は、今回公募への申請支援をお約束するものではありません。準備状況と対応可能な範囲を確認のうえ、ご案内します。

補助金の相談・申請支援について

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本記事は2026年10月18日時点の公式情報に基づきます。制度・日程・様式は更新されることがあります。最新情報と個別の適用条件は、公式サイト、公募要領および事務局の案内でご確認ください。

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