「会社の代表者が変わった」「本店を移転した」「発電所を別の会社から引き継ぐことになった」。法人で太陽光発電事業を行っていると、こうした会社や事業の動きにあわせて、FIT・FIPの認定情報や契約内容の確認が必要になります。
会社の登記、国のFIT・FIP認定、電力会社などとの契約は、それぞれ確認する手続きがあります。まずは、何が変わるのか、どの設備に関係するのかを整理しましょう。
この記事では、すでにFIT・FIP認定を受けた太陽光発電事業を保有・承継する法人に向けて、変更・引継ぎ・運用中の情報管理で確認したいことをまとめます。
1.どんなときにFIT・FIPの手続きを確認する?
会社や設備に次のような変更があるときは、現在の認定情報と変更後の内容を照合します。
| 変更・予定 | 最初に確認したいこと |
|---|---|
| 社名変更・本店移転 | 認定上の事業者名・住所と、変更後の登記内容 |
| 代表者・役員の変更 | 役職・氏名の変更に加え、法人の支配関係などにも変更があるか |
| 法人化・法人間の事業譲渡 | 誰から誰へ、どの発電設備・事業を引き継ぐか |
| 合併・会社分割 | 承継する法人、対象設備、効力発生日、認定上の変更項目 |
| 株式譲渡・出資関係の変更 | 認定事業者の「密接関係者」の変更に該当するか |
| パネル・パワコンの交換や増設 | 認定内容と工事計画の違い、変更する仕様や出力 |
| 担当者の退職・異動 | 申請システムの管理者、連絡先、申請中の案件、資料の保管場所 |
これは、手続きの要否を確認するための一覧です。担当者の交代を含め、すべてが同じ申請や届出になるわけではありません。
2.最初に整理したい設備と認定の情報
変更する会社情報だけでなく、設備ごとの認定内容を確認しておくと、相談や書類準備を進めやすくなります。
- 設備ID・認定通知書など:今回の手続きの対象となる設備を特定します。
- 現在の認定事業者:法人名、法人番号、所在地、代表者などを確認します。
- 設備の状況:設置場所、出力、屋根設置・地上設置の別、運転開始の状況を確認します。
- 制度と期間:FIT・FIPの別、買取期間・交付期間の状況を確認します。
- 管理・契約の状況:電子申請の登録者、連絡先、売電契約先、過去の申請・届出を確認します。
同じ会社が保有する設備でも、出力や認定時期、設置形態が異なる場合があります。複数の設備があるときは、設備IDごとに情報をまとめましょう。
3.変更内容と、申請・届出の順番を確認しましょう
認定後の変更には、変更認定申請、事前変更届出、事後変更届出などの区分があります。買取期間・交付期間が終了している場合も含め、変更する項目と認定の状態に応じて確認します。
会社情報の変更と、事業者の変更を整理します
同じ法人の社名や所在地を変更する場合と、発電事業を別の法人へ譲渡する場合では、確認する内容が異なります。個人から設立した法人へ発電事業を移す場合も、単に名称を書き換えるものと考えず、設備・事業の承継内容を整理する必要があります。
代表者変更についても、単なる代表者の交代と、「密接関係者」の変更に該当する場合では申請区分が分かれます。株式譲渡などを伴う場合は、認定名義が変わらなくても、法人の支配関係を含めて確認しましょう。
契約や工事の予定が決まった段階で相談しましょう
事業譲渡や組織再編、設備変更では、契約・変更の内容によって、申請前の説明会や事前周知措置が必要になる場合があります。設備の規模、設置場所、認定内容などによって取扱いが異なるため、実行日や工事日から逆算して、先に必要な対応を整理します。
複数の変更が重なるときは、同時に進められる内容と、先の手続きが終わってから進める内容を確認します。会社情報、認定情報、契約書類の変更前・変更後を一覧にしておくと、整理しやすくなります。
手続きの確認には、再生可能エネルギー電子申請の操作マニュアルや、説明会・事前周知措置の案内を参照します。
4.電力会社などとの契約もあわせて確認します
国の認定に関する手続きと、電力会社などとの契約変更は別に確認します。認定の手続きが終わった段階で、必要な契約変更まで完了しているかを確かめましょう。
- 売電・接続などの契約先と、変更を申し込む窓口
- 契約名義、請求・支払情報、売電代金の振込先
- 必要書類、申込時期、変更が適用される日
- 譲渡や引継ぎの前後に発生する売電代金の取扱い
FIPを利用している場合は、売電先に加え、取引や需給管理を支援するアグリゲーター等との契約も確認します。FITからFIPへの移行を検討するときは、移行の対象要件・認定申請と、移行後の契約・運用体制をあわせて整理します。
5.担当者・複数設備・定期報告の管理も大切です
「以前の担当者しか分からない」「施工会社に任せたままで資料がない」という状態を防ぐため、社内で情報を確認できるようにしておきましょう。
- 担当者と連絡先:社内担当、申請代行者、施工・保守会社、契約先を整理します。
- システムの管理:IDの管理者と操作権限、使用する連絡先を確認し、社内ルールに沿って安全に引き継ぎます。
- 設備ごとの記録:認定通知書、変更履歴、契約書、申請の完了連絡などを設備IDとあわせて保管します。
- 報告の管理:対象となる定期報告の種類・提出時期・提出状況を確認し、担当を決めます。
定期報告の対象や内容は、設備の出力や状況によって異なります。資源エネルギー庁の「費用の定期報告」で確認してください。
6.法人のFIT・FIP手続きは、状況の整理からご相談ください
たかえす行政書士事務所では、太陽光発電のFIT・FIPに関する申請・届出のご相談を承っています。法人の情報変更、法人化や事業承継に伴う手続きなどについて、現在の認定内容と変更予定を確認し、必要な資料と進め方を整理します。
ご相談の際は、分かる範囲で次の内容をお知らせください。
- 対象設備の設備ID、設置場所、出力
- 現在の認定名義と、変更後の内容
- 変更理由、予定日または変更した日
- 認定通知書、契約書、会社の登記事項証明書など、手元にある資料
- 申請中の手続きと、現在の担当者・窓口
最初からすべての資料をそろえていただく必要はありません。「何の手続きが必要か分からない」「複数設備をまとめて確認したい」という段階でも、現在の状況からご相談いただけます。
申請書類の作成を依頼する際の注意点
FITの申請書類の作成を有償で依頼する場合は、行政書士・行政書士法人や弁護士など、法令上その業務を行える者に依頼しましょう。
資格・権限のない者が、他人の依頼を受け、報酬を得て業として申請書類を作成することは、行政書士法第19条に違反します。電子申請データの作成も含まれます。
「申請代行料は無料」とされていても、実質的に工事代金やコンサルティング料などに書類作成の対価が含まれていれば、報酬の名目だけで判断されるものではありません。
参考:資源エネルギー庁「その他の手続」/e-Gov法令検索「行政書士法」
参考資料
- 資源エネルギー庁・再生可能エネルギー電子申請「操作マニュアルのダウンロード」(変更認定申請、事後変更届出、FITからFIPへの移行認定申請、定期報告等)
- JPEA代行申請センター「事業計画変更の申請の流れ」
- JPEA代行申請センター「説明会及び事前周知措置について」
- 資源エネルギー庁「費用の定期報告」
- 資源エネルギー庁「エネルギー白書2024:再生可能エネルギーの長期電源化に向けた取組」(FIP制度とアグリゲーターの役割)
本記事は2026年10月11日時点で確認した公表資料に基づいています。必要な申請・届出、書類、実施時期は、設備の認定内容や変更の事情によって異なります。












