個人で太陽光発電を行っている方が法人を設立すると、「発電設備も会社名義にしたい」「今後は法人で売電収入を受け取りたい」と考えることがあります。
個人と、その方が設立した法人は別の主体です。発電事業を個人から法人へ譲渡する場合、FITでは原則として事業者変更のための変更認定申請を確認します。会社を設立したことだけで、個人名義の認定が法人名義へ切り替わるものではありません。
1.最初に「何を法人へ移すか」を決めましょう
法人化の準備では、会社名を決める前後に、発電事業のどの部分を法人へ引き継ぐのかを整理することが大切です。設備、土地・建物、契約、認定の名義をそれぞれ確認します。
| 対象 | 整理する内容 |
|---|---|
| 発電設備・発電事業 | どの設備IDの事業を、どの法人へ引き継ぐか |
| 土地・建物・屋根 | 所有権を移すのか、個人所有のまま法人が使用するのか |
| 売電・接続等の契約 | 契約先、変更手続き、切替えの条件・時期 |
| 保守・保険・借入れ等 | 契約上の承諾や変更が必要か、誰が確認するか |
これは計画段階で整理するための一覧です。たとえば土地を個人所有のままにする場合には、新しい法人が発電事業のために土地を使用できる関係をどのように整えるかも確認します。
2.同じ人が代表者でも、社名変更とは異なります
個人の山田さんが代表を務める会社へ発電事業を移す場合、手続きを行う人が同じでも、認定上は「個人」と「会社」の間で事業を引き継ぐことになります。同じ法人の商号を書き換える手続きとは区別します。
まず、現在の認定事業者、設備ID、認定の状態を確認し、法人へ移す根拠となる契約や資料を整理してください。法人設立の資料と発電事業の譲渡資料は、確認する目的が異なります。
なお、会社を設立しても発電事業は個人で続ける場合など、計画の内容によって整理は変わります。「売電代金の振込先だけを会社口座に変える」という希望があるときも、認定名義や売電契約との関係を先に確認しましょう。
3.譲渡を確認する資料と、土地等の資料を準備します
事業譲渡による変更では、譲渡契約書や譲渡証明書などにより、誰から誰へ発電事業を引き継ぐかを確認します。建物を移す契約がある場合も、太陽光発電設備が譲渡対象に含まれることを明確にする必要があります。
準備する主な資料は、次のように整理できます。これは基本的な確認例であり、個別案件の必要書類一式を確定するものではありません。
- 譲渡の根拠:譲渡契約書・譲渡証明書、条件がある場合の関連資料
- 当事者の確認:個人側の住民票等、法人側の履歴事項全部証明書、双方の印鑑証明書等
- 事業を行う場所の権利:土地の登記事項証明書、売買・賃貸借等の契約書など
- 変更後の事業の体制:事業実施体制図、関係法令手続状況報告書
- 申請を依頼する場合:委任状など、申請方法に応じて必要な資料
証明書の発行時期や、契約書・認定情報に記載する名称・住所の一致も確認します。会社設立前の予定と設立後の登記内容が異なった場合には、実際の資料に合わせて見直しましょう。
4.変更認定申請の前に必要な対応を確認しましょう
事業者が変わる場合は、設備の規模・設置場所・認定条件などによって、説明会や事前周知措置が必要になることがあります。対象となる場合には、変更認定申請前の準備として日程を組み込みます。
住宅用の10kW未満の設備や、一定の屋根設置太陽光などには異なる取扱いがあります。「法人へ移すから必ず説明会が必要」「屋根にあるから必ず不要」と一律に判断せず、対象設備の条件を確認してください。
法人設立日、譲渡契約日、引渡しや売電契約の切替えを予定する日を一覧にし、どの資料がいつ用意できるかを整理します。説明会等の要否や実施時期は、公式の案内とガイドラインに照らして、計画の段階から確認しましょう。
5.売電契約の切替えと、完了後の管理も必要です
国の認定に関する手続きと、電力会社等への契約変更は、それぞれ確認します。契約先には、名義を法人へ変更するための必要書類、申込時期、振込先、変更が適用される日を確認してください。
譲渡の前後に発生する売電代金についても、個人と法人のどちらに対応するものか、契約や実際の入金状況と合わせて整理します。資産の移転方法や税務上の取扱いは税理士等へ、会社設立・不動産の登記については司法書士等へ確認し、FITの準備と日程を共有すると進めやすくなります。
手続き後は、法人側で次の情報を管理できる状態にしましょう。
- 変更認定の結果と、現在の認定情報
- 変更後の売電・接続・保守等の契約書
- 設備ID、電子申請の管理者、連絡先
- 過去の変更履歴、報告・保守に関する資料
6.法人化に伴うFIT手続きのご相談
たかえす行政書士事務所では、個人から法人への発電事業の移転に伴う、FIT・FIP手続きのご相談を承っています。現在の認定名義と法人化の計画を確認し、手続きに必要な資料を整理します。
ご相談の際は、設備ID、現在の個人名義、設立する法人または設立済み法人の情報、移転予定日、土地・建物の所有状況を、分かる範囲でお知らせください。
申請書類の作成を依頼する際の注意点
FITの申請書類の作成を有償で依頼する場合は、行政書士・行政書士法人や弁護士など、法令上その業務を行える者に依頼しましょう。
資格・権限のない者が、他人の依頼を受け、報酬を得て業として申請書類を作成することは、行政書士法第19条に違反します。電子申請データの作成も含まれます。
「申請代行料は無料」とされていても、実質的に工事代金やコンサルティング料などに書類作成の対価が含まれていれば、報酬の名目だけで判断されるものではありません。
参考:資源エネルギー庁「その他の手続」/e-Gov法令検索「行政書士法」
参考資料
- 資源エネルギー庁「再生可能エネルギー電子申請・操作マニュアル」(変更認定申請、事業譲渡変更の例)
- JPEA代行申請センター「事業計画変更の申請の流れ」
- JPEA代行申請センター「説明会及び事前周知措置について」
2026年10月12日時点の公表資料に基づく一般的な案内です。主にFITの買取期間中の設備を対象としており、FIPや買取期間終了後の設備は、該当する手続き区分を確認してください。必要書類や進め方は個別の認定内容・変更内容によって異なります。












